1994年、父が創業した平田建設に入る。大工・現場管理の仕事を通し、多くの住宅や商業施設の建設に携わる。2009年、父から代表を譲り受け、同年法人化。「健康な家づくり」にこだわり、化学物質によるアレルギーや喘息の方にもやさしい住環境を提案している。また、同社の職人が手作りする木製家具や、地域の作家作品も取り扱う店舗「RUCK LUCK(ラックラック)」の運営やインターネットショップを展開。2014年6月には、ハンドメイドのキッズアイテム専門サイト「namioto(ナミオト)」もオープンするなど、さらに事業を展開する。
―――平田建設さんは建設業以外にも、雑貨店やインターネットショップを展開されていますね。他業種のように思われますが、どうしてそれらのお仕事を始められたんですか?
家を建てていただいたお客様から、木製家具や棚などの製作を依頼されることも多く、作った家具等をインターネットで販売するようになったことが始まりです。実際に商品を見てもらえる環境を作りたいなという思いから、実店舗を持ちたいという気持ちは徐々に湧いてきました。そんな時、会社の倉庫を建替えることになったんです。
新しい建物を作るなら、この機会に店舗を併設しようと。そして、せっかく店舗を作るなら、木工製品だけでなく、作家さんの作品を始めとする本格的な雑貨店を作ろうということになったんです。倉庫には、木工製品を作る工房や商品撮影用スタジオ、地域にも貸し出せるようなフリースペースも付けました。そうして、「RACK LUCK」が誕生したんです。
―――お店では、職人さんの手作り家具に加えて、入園・入学グッズなど、本当に幅ひろい商品も多く扱ってらっしゃいますね。
入園・入学グッズは、今はスタッフとして働いている知人から、ネット販売について相談を受けたことがきっかけで始めたんです。彼女は縫製経験があり、自分の作った服をネットショップで売り出せないかと考えていました。そして、一緒に事業計画を考えたんですが、思うような利益を得るのが難しいという結論に至りました。
そこで、彼女に「うちで働かないか?」と声をかけ、入園入学用のレッスンバッグや巾着などを、ハンドメイド商品を店舗で販売してみてほしいと依頼したんです。試しに300個程用意したのですが、すぐに完売しました。ニーズがあると確信した私たちは、次に大量生産の方法を考えることに。
一緒に大阪へ行き、問屋街へ飛び込み、生地を仕入れるルートを確保することから始めました。次は、ミシンを購入。工業ミシンの経験がある母に頼んで、人を探してもらうとあっという間にスタッフが揃いました。そして、レンタルスペースとして活用していたフリースペースを利用して、工場化しました。そして、販売展開を初めて2年後の2014年6月、直売サイト「namioto(ナミオト)」として独立するまでに成長しました。
最近、力を入れているのが、「工作キット」。全ての材料をセットし、自身で作ってもらうものですが、難易度をつけるなど気軽に「手作り」を楽しんでもらえるようになっています。
今後は、この工作キットをアレンジし、高齢者施設などでのリハビリ用に使えないかと模索しているんです。
―――店舗に置く商品などは、スタッフさんが自身で選んでおられるんですか?
それは全てスタッフに任せています。私自身は食品メーカーと建設業しか知らないけど、スタッフはこれまでの仕事経験や得意なことをたくさん持っています。全員を合わせたら、いろんな経験値が集まりますからね。
「やりたい」と思っても、やったことのない人が事業計画を立てるのは難しいことだと思います。でも、それを理由に可能性が摘まれてしまうのはもったいない。ここで活かせることがあるならば、それを仕事にできるように、みんなで考えるようにしています。
直近で言うと、7月に「RACK LUCK」の工房スペースを改装して、カフェをオープンしました。これも、店舗の販売を担当しているスタッフの意見から生まれたんです。彼女が入社して1カ月程たった頃、「お客さんの滞在時間が短い」という課題を挙げてくれました。
女性客が多いが、一緒に来店した子どもさんや旦那さんに気兼ねして、足早に店を出てしまうというのです。
カフェでの勤務経験があった彼女は、「旦那さんがお茶を飲みながら待てて、子どもたちが遊べるスペースがあるカフェがあれば、ゆっくりと買物を楽しんでもらえる」と提案してくれました。
そして私と2人で一緒に事業計画を立て、社内で提案。その際、いろいろな課題もでてきましたが、その一つひとつをクリアして、7月にオープンさせることができたんです。
一人の小さな提案が、会社として取り組めば新しい事業に繋がることも多々あります。だからこそ、スタッフには「常にいろんなアンテナを張っておくように」「“面白い”と思ったものがあれば、全員に共有するように」と伝えているんです。やる気のある人ばかりだから、面白い提案もたくさんでてきます。それをしっかりと事業展開し、新しいサービスや提案を世に出し続けていきたいですね。
RACK LUCK(ラックラック)
兵庫県姫路市広畑区蒲田675-1 (地図)
TEL:079-237-7886
職人さんが作る木製家具から、作家さんの作品まで毎日を楽しく&快適にする雑貨が揃う。家具はオーダーメイドも気軽に相談できる。大工さんが先生の木工教室は、母体が建設会社ならではの試み。カフェスペースがあるので、時間を忘れて買物を楽しめる。