はりまるしぇ > はりまスター HOME > vol.3 株式会社平田建設 > 2.「スタッフの待遇をよくしたい」という気持ちから生まれた新しいチャレンジ

<プロフィール>

代表取締役 平田真也氏

平田真也氏

1994年、父が創業した平田建設に入る。大工・現場管理の仕事を通し、多くの住宅や商業施設の建設に携わる。2009年、父から代表を譲り受け、同年法人化。「健康な家づくり」にこだわり、化学物質によるアレルギーや喘息の方にもやさしい住環境を提案している。また、同社の職人が手作りする木製家具や、地域の作家作品も取り扱う店舗「RUCK LUCK(ラックラック)」の運営やインターネットショップを展開。2014年6月には、ハンドメイドのキッズアイテム専門サイト「namioto(ナミオト)」もオープンするなど、さらに事業を展開する。

2.「健康な家づくり」に対する思い

―――平田建設の考える「健康な家」とはどんな家なのですか?

快適な住宅環境の条件の一つに、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせることは入ってこないでしょうか?長野県は、夏の気温は高く、冬は雪で覆われる土地柄。そんな地域でも、夏も冬も快適な空間を作り出せると、県内で広く用いられている工法があります。弟が視察に行った現地の保育園では、エアコンがなかったそうです。しかし、夏の暑い日でも子どもたちは快適なようで、元気に遊んでいたとのこと。

通気断熱WB工法 イメージ

一般的に壁は、断熱材・石膏ボード・クロスなどを、密着させて作られています。WB工法では、壁の中に風の通る道を作ってあげるんです。すると、床下のひんやりとした空気が、その道を通り、屋根の方に上昇していきます。そのため、夏は熱気がこもりにくいんです。

では、冬の冷気にはどう対応するか。これは外気に触れる床下の通気口を閉めればいいんです。この工法には、気温を感知して開閉する形状記憶合金でできた通気口が備えられており、冷たすぎる外気の量をコントロールしてくれます。そのため、夏の熱気、冬の冷気に強い家となるのです。

気密性だけに特化した住宅だと、どうしても湿気が溜まりやすくなりますよね。部屋は暖かいでしょうが、カビやダニが繁殖しやすい環境ともいえますよね。そうならないように、通気口は必要な空気を通せるよう、少しだけ開いています。

家の中にある匂い、化学物質などは水分とくっつきます。そして、この汚れた湿気は、通気性のよいWB工法の壁を経て、床下の空気の上昇と共に家の外へ吐き出されます。そのため、空気も湿度も快適に保てるんです。WBとは、ダブルブレスのこと。つまり、家が自分で呼吸をしている状態に作られているんです。

―――それは、アレルギーなどに悩まされている人にとっては快適な空間が作られるという事ですか?

昨年、当社がこの工法の販売権利を取得してから、この夏までに4軒の住宅や店舗を施工しました。いずれも施主さんやご家族が、アレルギーや喘息、化学物質による症候群に悩まされていたんです。しかし、新たな生活環境ができてから、「建物内にいる間はマスクを外せるようになった」といった、症状の緩和や改善の声をいただいています。

うちのスタッフの話になりますが、中古住宅購入後に息子さんのアレルギーが悪化したんです。医師から、「どんな家に住んでいるか?」と聞かれたと言っていました。その話を聞き、WB工法で建てられた家に住むと、彼の症状は緩和するのではないか?と思ったんです。 しかし、この家だけでなく、多くのご家庭では、新築や住宅購入時に多額の費用をかけられているため、大がかりな改築を伴うリフォームには踏み切れないと思われました。

そこで、例えばリビングだけ、寝室だけなど、彼が主に生活する一部屋だけでもWB工法を取り入れられないかと考え始めたんです。そして、それが技術的にも可能で、さらに金額も安価で提供できることが分かりました。
建設準備と共に、その息子さんの診察についていき、主治医に会わせてもらいました。そして、WB工法についてお話し、リフォームした部屋で生活してもらうことで、彼の症状がどのように変化していくかを教えてほしいとお願いしたんです。

―――家のリフォームのために、主治医の先生にまで会っていただけるなんて、施主としてはすごく考えてもらっているようでうれしいですね。

前に言ったように、自分の建てた家で病気にはなってほしくない。むしろ健康になってほしい。

空気の“キレイ”感じますか?

だから、私はこの工法を知り、そして、病気に悩む人たちから喜びの声を聞いた時、これをもっと広めていきたいという思いに駆られました。彼の症状が改善していく経過を見ながら、この方法が正しいという結論がでれば、彼だけでなく多くの人の手助けができると思っているんです。

これが一般的になることで、多くの建築会社・工務店が追随し、価格競争が起こる日が来ると思います。

もしかすると、それが原因で当社は建設業として立ちゆかなくなるかもしれません。でも、それはそれでいいと思っているんです。その時は、「世の中に浸透したから自分の役割は終わった」と思い、建設業をたたむくらいの覚悟をもってやっていますよ。