株式会社コウメイ 代表取締役。
ディーラーで整備士として経験を積んだ後、自動車の販売・整備を行う店を開く。自動車に対する時代の流れを感じ、約10年で閉店し、自動車業界から手を引く。その後、中国で見た電動バイクに未来を感じ、2008年EVの製造を主とする会社を設立。EVコンバート、スポーツサイクルを販売する傍ら、EV三輪車の開発に力を入れる。2014年、3人乗りの三輪自動車「EVK-TRES(トレス)」を日本で初めて販売する。
―――御社の電動バイクは業界でも定評があり、多くのメディアからも注目されていましたね。
某アイドルグループの番組で、電動バイクを使って富士山から海を目指すという企画に参加させていただいたこともありました。弊社の姫路ナンバーの電動バイクが使用されていたことを受け、「姫路の会社が電動バイクを作っている」と認知して頂け、たくさんの反響をいただいたんです。
建物内で走行するのに難しい許可のいらない電動バイクは、テレビ番組でも小道具として使用されましたし、業界だけでなく、一般のメディアでもよく紹介していただきました。
その一方で、思いがけないことが起きました。
大手メーカーから、そのメーカーの販売しているパーツに似ているなどを理由に、当時販売していたオリジナル電動バイクの差し止めを求められたんです。全て反論できることでしたが、巨大な企業と戦えるはずもなく、販売を停止せざるを得なくなりました。
また、同時期、部品の仕入れの為に開いていた中国オフィスで、現地スタッフに全てを持ち逃げされる事件も起きました。
―――多大な損害を負われたと思うのですが、会社を続けようと思われたのはなぜですか?
会社設立当初からある、「時代はいつかEVを求める」という、揺るぎない信念があったからです。
全てを失っても、一人になっても、会社を残すことでEVの開発は続けられると思ったんです。そして、会社を残すために、EVパーツの販売や、ガソリン車をEV化するEVコンバートをはじめました。また、スポーツバイク専門のインターネットサイトを開設し、ロードバイクの販売も行いました。
近年では、大手メーカーからEVが販売されたこともあり、少しずつですが、世の中のEVへの関心が高まっています。
そういった時代の流れの後押しもあり、各メーカーで弊社の部品を使ってもらえるようになったんです。テスト走行をするとき、たった1台の為に部品を作成したりはしませんからね。
また、整備士の養成校でも、EVについての授業が増えてきているようですが、その教材は圧倒的に少ない。そこでも、パーツの提供を始めたんです。
―――会社というより、社会のEV化の推進に力を入れておられる要素が強いですね。
日本で新車を販売するためには、基準が厳しく、膨大なテストが必要になります。現実を考えると、巨大な資本を持った企業でないと無理でしょう。
でも、我々が取り組み続けることによって、社会や同業種の企業が気付くきっかけになるかもしれない。
未だに、日本国内では、EVのインフラが整っていませんが、多くの企業がそこへ参入することにより、一気に加速するかもしれない。
それだけでも、我々の存在意義があると思っているんです。