株式会社コウメイ 代表取締役。
ディーラーで整備士として経験を積んだ後、自動車の販売・整備を行う店を開く。自動車に対する時代の流れを感じ、約10年で閉店し、自動車業界から手を引く。その後、中国で見た電動バイクに未来を感じ、2008年EVの製造を主とする会社を設立。EVコンバート、スポーツサイクルを販売する傍ら、EV三輪車の開発に力を入れる。2014年、3人乗りの三輪自動車「EVK-TRES(トレス)」を日本で初めて販売する。
―――今は、先日発売された「EVK-TRES(トレス)」の開発に力を注いでおられるんですね。
よく、東南アジアに行くのですが、三輪タクシーがたくさん走っているのを見ます。 これは、日本から持ち込まれた三輪自動車が独自の発展を遂げたものなんです。
インドでは、三輪バイクタクシーは「オートリキシャ」と呼ばれていますが、「人力車」からとったものだと聞いています。
50年以上前に日本でできた三輪自動車が、その外装をさまざまに変化させて運用されています。しかし、内部の構造は、50年前とほぼ変わっていません。
それ故に、排気ガス問題は深刻で、環境に大きな影響を及ぼしているんです。東南アジアにおける環境問題解決のために、EV三輪自動車が役立つと思っています。
―――東南アジアの環境問題はそんなに深刻なんですか?
日本でもたくさんの自動車やバイクなど、ガソリン車が走っていますが、排気ガスが気になることはほぼ無いのではないでしょうか?実は、日本の排気ガスは世界一クリーンなんです。
この部分において日本は、規制も厳しく、最先端の技術で取り組んでいるんですが、それは海外にいくと痛感します。
特に東南アジアは、人口増加に伴い、車やバイクの増加で、道路は常に渋滞。さらに、大量の排気ガスや大気汚染物質を排出して、マスク無しでは外を歩けない状態ですから。
―――東南アジアでEVタクシーが主流になれば、一つの大きな問題が解決するんですね。
東南アジアではそういった目的が大きいのですが、日本においては、シンプルな乗物を作りたいという想いがあります。
今の日本の自動車は、いろんな機能が付きすぎていると感じています。
そもそも乗物は、ただの移動手段です。
しかし、日本ではたくさんの機能が求められすぎていると思いませんか?進化と共に、音楽が聞けたり、DVDが見られたりするだけでなく、ABSや自動停止機能など、最近では人間の身体能力を低下させるのでは?と危惧するようなシステムも開発されています。
もっと純粋に、乗物の原点に戻りたいと考えてEV三輪自動車の開発に辿り着きました。
EVK-TRES(トレス)は、家庭用の電気コンセントで充電でき、普通免許で運転できるシンプルな乗物で、さらに環境にも優しい。
ただ、今の状態に満足はしていません。ますますその機能や利便性をもっと伸ばしていきたいと、毎日開発を行っています。
そして、50年前に日本の三輪自動車が東南アジアで革命をもたらしたように、EVK-TRESがその新たなきっかけになればと思っています。