姫路文学館って?
姫路文学館は、姫路を中心とした播磨ゆかりの文人たちを顕彰し、資料の収集および調査、研究を行うとともにあらゆる文学活動の拠点とすることを目的に、平成3年(1991年)4月、市制百周年事業の一環として開館した博物館施設です。国宝姫路城の北西に位置し、建築家 安藤忠雄 氏の設計によるユニークなデザインが古い町並みに新しい風景を添えています。
姫路文学館の特別展・企画展のお知らせ
企画展「生誕120年記念 詩人 坂本遼展」
自分の心に、切実なものは母でした
斎藤庸一・昭和38年聞き書き(『詩に架ける橋』昭和47年 五月書房)より
貧しい農民たちの哀歓を土地の言葉で朴訥にうたい、現代詩史に方言詩の新たな地平を開いた兵庫県加東市生まれの詩人坂本遼。
丹波との国境に位置する播磨の山あいで自作農の家に生まれた感傷的な少年は、つつましい暮らしのなか母の深い愛情を受けて育ちました。留守がちな教師の父に代わり、峠田で一心に鍬を振る母(おかん)に象徴されるふるさとが、のちの詩のテーマとなります。
関西学院在学中、詩人草野心平にいち早く見出され、その詩誌「銅鑼(どら)」に参加。平仮名を書くのがやっとの母が寄越す手紙への返信を綴るかのように詩作に励み、大学を卒業した年に最初で最後となる詩集『たんぽぽ』(昭和2年 銅鑼社)を上梓して一躍注目を集めますが、母の死や生活の糧を模索する日々のなかでいつしか文学から遠ざかってゆきました。
長らく封印していた坂本の詩心を再びよみがえらせたのは、戦後、井上靖と竹中郁によって創刊された児童詩誌「きりん」での作文指導でした。生活の中から懸命に発せられる言葉にこそ「うつくしい心」を見出そうとするその姿勢は、かつて詩作で弱く貧しい者たちの無心の営みに人間の尊さを見たことと通ずるものがあります。
生誕120年という節目を迎え、このたび坂本家ご遺族および加東市教育委員会のご好意により膨大な未公開資料の調査を行うことができました。本展では、自身についてほとんど語ることのなかったこの寡黙な詩人の足跡をたどるとともに、そのまなざしがとらえ続けた〈詩〉の在処(ありか)を探ります。どうぞご期待ください。
【会期】2024年12月7日(土)~2025年3月30日(日)
姫路文学館
- 所在地
- 〒670-0021 姫路市山野井町84番地
- 電話番号
- 079-293-8228
- FAX
- 079-298-2533
- 開館時間
- 10:00-17:00 ※入館は16:30まで
- 休館日
- 毎週月曜日(休日の場合は開館)、休日の翌日(土日の場合は開館)、年末年始(12月25日~1月5日)
バスで
【1】JR・山電姫路駅前の神姫バスターミナル9・10・17・18番(一部停車しない系統がありますので、ご確認ください)乗り場から乗車約6分「市之橋文学館前」下車→北へ徒歩約4分
【2】城周辺観光ループバス「清水橋・文学館前」下車→西へ徒歩約3分
お車で
【1】姫路バイパス「中地ランプ」下車→北東へ約15分
【2】山陽自動車道「姫路西I.C」下車→南東へ約25分「姫路東I.C」下車→南西へ約25分
【3】中国縦貫自動車道「福崎I.C」より播但連絡自動車道「砥堀ランプ」下車→南西へ約25分
【4】国道2号線より、大手前通りを北上→姫路城前を西へ約700m→野本眼科の角を右折約200m
※駐車場(50台・無料)※大型バスでご来館の場合は事前にご連絡ください