フォトスタジオ「ism」・ポートレートスタジオ「ism:basic」 代表
姫路でいち早くウエディングのデザインアルバムを商品化。10年で1000組以上の撮影を行い「ウエディングなら石田」と言われるように。2006年、本町商店街に「ism」をオープン。“普段着のまま、家族の日常を残す”というスタイルを定着させた。さらに2011年、祖父の代から続く本店「イシダスタジオ」を「ism:basic」へ改装。「大人専用」と位置付け、大人が気軽に撮影を楽しめるようなポートレートスタジオを生み出す。2013 年パリコレクション「RYNSYU 2013/A/ W」に参加するなど、フォトグラファーとして第一線で活躍する傍ら、全国で講演・講師活動を行う。
―――2004年にお父様からお店を引き継ぎ、2006年に新しいお店「ism」を立ち上げられましたね。新たなお店を立ち上げられたきっかけは何だったんですか?
デザインアルバムの評判が上がると共に、どこででも同じようなウエディングフォト商品が取り扱われるようになりました。他社とは違う新しいサービスを生み出す必要があったんです。
その頃、30代半ば。結婚をして、子どもが生まれて、僕自身のライフステージが変わっていった時期でもありました。
そんな僕に変化を与えたのは、息子の誕生。500gで生まれてきた長男は、保育器でしか生きられない時期が長く続きました。無事に育つかどうか、心配しながらの数年。
今日しかないかもしれない彼の1日1日を記録し続けたいと、毎日写真を撮っていました。
必死で生きている息子と接しながら、「何気ない毎日こそが、大切である。それを、残していくべきではないか?」と気付きました。
当時、店に写真を撮りに来るお客様は、結婚、七五三、入学式、卒業式、など何か特別な日に来られることがほとんど。
特別な日でもなく、着飾るのでもなく、家族の普段着の日常を撮影することの大切さを伝えたいと強く思うようになったんです。
そして、カジュアルフォトを専門に扱うスタジオの構想を練り始めました。
―――まだ世の中では「カジュアルフォト」という概念はなかったと思いますが、お店での反応はいかがでしたか?
背景紙を引いて、かしこまった写真を撮るスタイルではなく、普段着のままスタジオで、自由に話しながら、時には外へ出て子どもがシャボン玉をふきながら撮影できる。こんなスタイルは、オープン当初から興味を持ってくれる方も多く、お客様の反応も悪くはありませんでした。が、お客様がひっきりなしに訪れるというほどのものではなかった。
「口コミで広がる為には、何をすべきか?」「“もう一度、ここへ来たい”と思ってもらえるには、何をすればいいか?」と1~2年くらいは試行錯誤の連続でした。
メディアに取り上げてもらうことも、戦略の一つでした。
テレビ局や雑誌に売り込もうかと考えていた頃、NHKの方が僕を訪ねてこられたんです。
ただ、僕にウエディング関連の尋ね事をしに来られただけだったんですが、チャンスとばかりに売り込みました。
そして、カジュアルフォトをテレビで紹介してもらえました。その後もNHKを始め、いろんなメディアで紹介されるようになり、徐々に講師や講演の依頼もいただき、気づけば、世の中にismで提案したスタイルが浸透していましたね。
―――今では、カジュアルフォトが「あたりまえ」と思われる程に、一般に根付いていますね。それも全国で講師や講演を行われている石田さんの力が大きいと思います。お店のスタッフさんの育成にも力をいれておられますか?
ismをオープンしてから、スタッフはすべて正社員で雇用しました。が、彼らに対しては、特に僕は何もしていないんです。ただ任せるくらいで(笑)。集まったスタッフは、情熱のある人ばかりで、一人ひとりが「お客さんに喜んでもらえるように」と、いろんなことを試みてくれています。カジュアルフォトが浸透し、競合店が生まれる中で、「また、この人に撮ってもらいたい」と彼らを求めて、お客さんが何度も来て下さっているのが、今の状態です。「ism」成長には、彼らの力が1番大きかったですね。