柔道整復師・鍼灸師として大阪で経験を積んだ後、2003年に地元・姫路で「きたなか整骨院」を開院。矯正・鍼灸・整体を組み合わせた複合療法を行う。整形外科や歯科など医療機関との連携も行うなど、総合的なアプローチから地域の健康を支えている。2012年には神崎郡福崎町に「もちの木整骨院」を開院。2014年には姫路市で2院目となる「しぃーさん整骨院」と共に、新規事業であるリラクゼーションサロン「SORAE」をオープンする。
―――今、3つの整骨院と1つのリラクゼーションサロンを経営されています。分院も最初から計画されていたのですか?
分院することは全く考えていませんでした。「きたなか整骨院」は、来院して下さる患者さんも安定していましたし、満足できる環境だったんです。ところが、長く頑張ってくれているスタッフから、「ずっとここで働いていきたい」という思いを告げられたんです。
業界では、独立して開院していく人がほとんど。当然、彼も卒業していくものだと思っていたのですが、「独立はしない。グループとして何かやっていきたい」と言われたんです。
彼の決断を受け、一緒にやっていくからには、現状維持ではいけない。何か形になることを残してあげたいと思い、彼を院長とする整骨院を作りました。
2012年、「もちの木整骨院」を開院。院長として運営の仕組みも作り、期待通りうまく軌道にのせてくれました。さらに今後を任せられる他のスタッフも育ってきたタイミングで、院長を別のスタッフに譲ってもらい、「きたなか整骨院」の院長として呼び戻しました。そこで、僕が今年「しぃーさん整骨院」の院長をすることになったんです。
―――法人化して、「株式会社きたなか」を立ち上げられたのも、最初の分院の頃だそうですね。
周りの勧めで法人化したものの、当初はそんなに意味を感じていませんでした。11年前に立ち上げた時は妻と二人でしたが、今はグループ全体で約20名の従業員がいます。その成長と共に、独立して開院したい人、きたなかグループに残りたい人、別の挑戦をしたい人など、いろんな考えを持つ人がでてきています。その決断を後押しできるように、グループ全体で何かフォローしていければと思った時、会社であることの意味を感じられるようになりました。
僕は、会社の社長・院長・治療家としての3つの顔を持たなくてはならないと思っていますが、社長として思うのは、スタッフの待遇の向上。長く頑張ってくれた人には、それなりの待遇を与えられるように、彼らに責任あるポジションを作っていかなくてはならないと思っています。
―――スタッフの皆さんの成長が、ますます会社としての成長を促しているようにみえますね。
安心して任せられる人が増えているので、僕自身が新しいことに取り組める時間ができたと思っています。
以前、「リラクゼーションの道へ進みたい」と言って辞めた子がいました。当時は、他社へ行くことしか選択肢がなかった。しかし、「SORAE」のオープンにあたり、「同じことができるなら、きたなかグループで」と言って、戻ってきてくれたんです。新しい事業に会社がチャレンジすることで、スタッフの今後の選択肢も広がっていくと感じています。
もう一つ、社長としてやりたいことは、彼らの休みを増やすことです。少し前に、やっと週休2日制度を導入できました。一般企業では当たり前のことですが、整骨院ではなかなか難しかったんです。
今の目標は、長期の休みを作ること。スタッフのみんなに、いろんな経験をする時間を作りたいと思っています。そして、その経験から新たな可能性を想像する力を養ってほしいですね。まず遊ばなくては、想像もできませんから。