春の風物詩といえば何と言っても桜ですが、その盛りは短いのが相場です。
ぱっと咲いて潔く散るというところも桜の美学とはいうものの、そんなに早く散られては、忙しい人はせっかくのお花見もゆっくり楽しめません。
4月の終盤に差し掛かると、桜の花もほとんど散っており、見逃した人は葉桜を見て残念な気持ちになりそうです。
しかし、全ての桜が散ってしまっているわけではありません。
日本で最も多く植えられている桜の品種はソメイヨシノで、約80%を占めますが、それ以外にも多くの種類の桜が存在しています。
桜はヒマラヤ付近が原産の木で、日本には原種のサクラが約10種類存在します。
その原種の間の交配で生まれた野生の桜(いわゆる山桜)は、約100種類あるといわれています。
そして、人間が交配させて作った品種(里桜)の数は、何と600種類
それぞれが花の形や色ばかりでなく、大きさや枝ぶり、花の咲く時期などが大きく異なります。
ソメイヨシノが散ってしまっても、まだまだこれからが盛りという品種の桜も意外と多いのです。
4月中旬以降が盛りになる八重桜のグループで、よく植えられている品種にはどんなものがあるのでしょうか? ごく一部ですが、桜の名所である姫路城近辺に植えられている種類を紹介していきます。
福禄寿(ふくろくじゅ)
八重桜の一種で、東京の荒川堤で栽培されていました。
学名はPrunus lannesiana ‘Contorta’といい、Contorta(ラテン語でねじれの意味)は花弁がねじれて曲がることに由来します。
御黄衣(ぎょいこう)
こちらも荒川堤で栽培されていた品種で、黄緑色の花を咲かせる変わった桜です。
その特異さから、古くから人気があって栽培が続けられてきました。
かなり渋い、通好みの品種ですね。
鬱金(うこん)
御黄衣に近い品種です。
花は緑みがかかった浅黄色で、この色がウコンで染めた色に似ていることからこの名前がつけられました。
普賢象(ふげんぞう)
室町時代から存在していた古い種類です。
めしべの端が曲がっている様子が、普賢菩薩の乗っている象の鼻のようであることから、この名前が付いたとされています。
葉っぱが褐色が掛かった色になるのが特徴で、ちょっと桜餅を連想させます。
一葉(いちよう)
八重桜の一種で、花びらの内側が白いために、花が開くと全体的に白く見えます。
大輪の花を咲かせるのが特徴で、大きなものでは5cm以上になるとか。
東京の新宿御苑が一葉の名所として有名です。
これらの桜は、ソメイヨシノが満開のときでもつぼみのままで、一般的なお花見シーズンの後が盛りになります。
桜の種類がたくさんあるということは、それだけシーズンを分けて楽しめるということで、サクラが散ってしまったと嘆くことはありませんよ。
投稿はケイでした。